【創作 160】 侍女の事情
おれは昔の親父と王妃をよく知るばあさんを自室に招き、2人の馴れ初めを聞いた。 当初「母を亡くした幼いおれの遊び相手」として城に招いた女を気に入った親父は、ろくに口も聞けないおれをダシにして「カインが喜ぶから」と3人での時間をつくり女との交流を徐々に深めていった。...
View Article【創作 161】 不慮の事故
おれの補佐役を任されたモルディウスにねちねち余計な小言を言われねえように親父たちが出かけてから、おれは連日のように執務室にこもって国政の勉強を続けた。 そして、親父と王妃がテパの村へ旅行に行ってから4日目の朝を迎えた。 この日は、サマルトリア緑の騎士団の訓練兵たちが休みになる日だ。おれは顔なじみの兵士にムーンペタへ行ってナナに手紙を渡してもらうよう頼んだ。...
View Article【創作 162】 勘のいい男
親父たちが旅行に行ってからサマルトリア緑の騎士団の訓練が初めて休みになった日、おれは事前に入念な策を練っておいて、ナナをサマルトリア城に呼び寄せた。 ナナの到着が思ったより遅くて多少ヤキモキさせられたが、おれは予定通り謁見の間で玉座に座った状態でナナを出迎えた。...
View Article【創作 163】 相当マズいダシ
ナナがサマルトリアへ来た日。ちょっとした事故で唇を重ねてしまったおれたちは気まずい空気になっちまった。 この状況を打破しようと、おれはサマルトリア緑の騎士団の軍医待機所へ向かった。 親父が王妃と知り合って間もない頃、親父は2人きりですごすのが気恥ずかしくて幼いおれをダシにして3人ですごしつつ仲を深めていったとばあさんに聞いたからだ。...
View Article【創作 164】 憧れの人
ナナをサマルトリアに招いたおれは、ちょっとした事故でナナとキスしてしまった。 気にしなければいいのかもしれねえが、ナナと2人きりですごすのが気まずくなり「いいダシを交えて3人ですごせば、会話もはずんで照れ臭くないのよ」というばあさんに聞いた話を思い出し、おれはダシとしてサンチョを呼び寄せた。...
View Article【創作 165】 とんでもねえ提案
ナナとキスしちまった気まずさを解消するため、サンチョをダシとして招いたのに余計なことばかり言い続けるサンチョのせいで食事の場はさらに変な空気になった。 おれは席を立ち「王子もサマルトリアに呼びたい」という自分の言葉を実行するため伝令兵をローレシアへ向かわせようと、食堂を出て見晴らし台へ行くことにした。...
View Article【創作 166】 花が咲き誇る中で
王子をサマルトリアへ招く手配をして、おれがナナとサンチョのいる食堂へと戻ると食堂には王妃の侍女たちが来ていて、気色悪りい言葉でナナに賛辞を送っていた。 憧れのナナに夢中な女中たちは「ずっとナナ様のお世話をしたい」と言っている。だが、こいつらは王妃の侍女で、王妃が旅行から帰れば後宮に戻らないといけない。...
View Article【創作 167】 ローレシアで問題発生?!
おれとナナがあの事故で唇を重ねちまった件について、おれはサンチョを通じてナナの気持ちを聞くことが出来た。 サンチョの話だと、ナナは驚いただけで特に不快だとは思ってなかったらしい。 「不意の口づけを嫌がってないんだから、イイ雰囲気になれば本気のキスもできる!」 サンチョにそう言われたおれは半信半疑だったが、試す価値はあると思った。 どうせ失敗したって引っ叩かれるだけだ。やってみてもいいだろう。...
View Article【創作 168】 ドッキリ大作戦
おれは花がたくさん咲く裏庭にナナを連れて行き、イイ雰囲気をつくったところでキスしようとしたが、ナナの姿を一目見たいと願う王妃の侍女や見張り台の兵士に何度も邪魔されてしまった。 こいつらはイイ雰囲気になると現われて、次々にとんでもねえことやらかすからナナが笑っちまうんだよな。 せっかくのムードをぶち壊されて、とてもキスできるような雰囲気じゃねえ。...
View Article【創作 169】 おれたちの晴れ舞台?!
王子をサマルトリアへ呼び寄せるためローレシアへ派遣した兵士が帰ってきた。 兵士から「王子様はサイラス卿が何か言おうとしたのを鋭い声でさえぎった。その後2人はこっちを見てから口をつぐんで黙り込んだ」と報告を受け、おれとナナはローレシアで知られたくないような問題が起きているんじゃねえかと案じた。...
View Article【創作 170】 えっ? ドタキャン?!
明日、遅くとも夕方までには王子がサマルトリアへ来ることが確定した。 おれとナナは王子が来たらどうやって驚かしてやろうかと考え、ナナの発案でなんと!おれたちは婚礼衣装を着て2人並んで王子を出迎えることに決まった。 おれが「それでいいぜ」と了承してから、ナナはずっとはしゃぎっぱなしだ。 ドレスはどうする? ブーケは?...
View Article【創作 171】 モミジをつけた花婿
王子がサマルトリアに来たら「2人で結婚したフリして婚礼衣装で出迎えよう」というナナの提案を受け入れて、おれたちは正装して王子を驚かせてやることにした。 おれが提案を了承したとたん、ナナは大はしゃぎになって王妃の侍女たちも巻き込み張り切っていそいそと準備を始めた。 王子がサマルトリアに来る当日も、夜明け前からおれを叩き起こして整髪し出した。...
View Article【創作 172】 王子が話を止めた理由
久しぶりにサマルトリアへやって来る王子をあっと驚かしてやろうぜ!意気込みたっぷりに、おれとナナは婚礼衣装に身を包んで王子を迎えることにした。 準備万端であとは王子が来るのを待つだけという段階になって、ナナがいきなり「ねえ、こういうのやめよう?」と言い出したときはさすがに焦ったぜ。...
View Article【創作 173】 それぞれの攻防戦
久しぶりにサマルトリアへやって来た王子を婚礼衣装で出迎えて驚かせようというナナの作戦は大失敗に終わったが、相変わらずの王子との会話におれの心は和んだ。 おれは王子とナナを自室に招き、3人で心置きなくゆっくり話すことにした。 以前ローレシアに伝令兵を派遣したとき、サイラスが何か言おうとしたのを王子が鋭い声をあげて止めたという話が気になっていたおれはさっそく王子に尋ねた。...
View Article【創作 174】 突然のお誘い
久しぶりにおれたち3人がそろったぜ! 王子もナナもサマルトリアに来て嬉しくなったおれは「歓迎の宴」を開くことにした。 宴には、王子を驚かせるためナナが考えた策に協力してくれた王妃の侍女たちと、(気は乗らねえが)王子とナナに会いたいと騒ぐ伝令兵たちも招待することにした。 宴が始まると、王子は「サマルトリアとハーゴン軍の決戦日の話をしてくれ」とおれや王妃の侍女、伝令兵に言ってきた。...
View Article【創作 175】 言えねえよ!
おれは王子とナナを歓迎の宴に招いた。 ひょんなことから、王子は王妃の侍女や兵士たちの賞賛と関心を一身に集め、すっかり蚊帳の外になったおれに、ナナは「あんたの誕生日に王子の婚約発表を合わせるなんてバカなんじゃない?」と言ってきた。 みんなに大人気の王子が婚約発表なんてしたら、世界中が一斉にお祭り騒ぎになっておれの誕生日なんてみんなからすっかり忘れられてしまうだろう…...
View Article【創作 176】 王子の助け
王子とナナを招いて設けた歓迎の宴の席で、ナナと2人で話す機会があったおれはナナから「あんたの誕生日はあたしが祝ってあげる」と言われた。 おれの誕生日に王子が婚約を発表する予定で、王子の婚約発表があれば世界中が王子に注目して「おれの誕生日は忘れられてしまうから」というのが理由らしい。 ナナがおれの誕生日を祝うって?2人だけですごすつもりか?...
View Article【創作 177】 カインの失態とナナの機転
王子とナナのために設けた「歓迎の宴」が終わり、おれたちは解散することにした。 ナナはずっと上機嫌のまま王妃の侍女たちと部屋に戻っていき、おれは王子に向かって「おまえにも部屋を用意してあるぜ」と言おうとしたところ、おれより早く王子が「今日はきみの部屋に泊まっちゃダメかな?」と言ってきた。...
View Article【創作 178】 カインの強さは?
王子もナナもしばらくサマルトリアに滞在できると知り、喜んだおれは2人を例の秘密の部屋に案内することにした。 かつて『ロトの盾』が保管されていた部屋は、今や王妃が親父から部屋を譲り受けて自身の好きなように使っている。 王妃はテパの村に行ってて不在だが、王子とナナにも部屋の存在を教えたからといってとやかく言われることはないだろう。...
View Article【創作 179】 カインの蘇生場所
ナナにアバカムの呪文で入口の扉の鍵を開けてもらい、おれは王子とナナをロトの盾が封印されていた部屋へと連れて行った。 ここでは以前ティアとクリフトが稽古していたこともあって、木刀やら革の盾やらがそのまま置きっぱなしになっていた。 木刀と盾を見つけた王子はおれに「ぼくの稽古の相手をしてくれよ」と頼んでくる。...
View Article【創作 180】 突然の知らせ
おれが王子とナナをかつてロトの盾が保管されていた部屋へ連れて行ったところひょんなことで明日から王子の剣の稽古に付き合わされる羽目になっちまった。 正直、そんな面倒くせえ役割は勘弁して欲しかったが「サイラスより強いカインとぼくは稽古したいんだ!」と王子に懇願されちまったからな。しょうがねえ。...
View Article【創作 181】 急報の中身とは?
王子とナナがサマルトリアにやって来てから… あれ? もう何日たったんだ? とにかく!王子もナナもここでの暮らしにすっかり馴染んで毎日楽しそうにすごしている。 城内には山ほど部屋があるのに、王子は相変わらずおれの部屋で寝起きしていた。王子は朝になるとおれを起こし、極秘で稽古が出来る例の部屋へおれを連れて行く。...
View Article【創作 182】 破壊神トルネコ?!
王子やナナとサマルトリアでの日々を満喫する中、城にいきなりの急報が届いた。 ティアや親父たちの身に何か?まさか第2のハーゴンが?! とんでもなく悪い知らせなんじゃねえかとおれは焦って謁見の間に向かったが届いた急報は意外なものだった。 急報の送り主はサイラスだ。 サイラスが送ってきた手紙によると、ローレシア城に「ティア姫に会った」と言う奇妙な商人がやって来たらしい。...
View Article【創作 183】 冴えわたる王子☆
サマルトリア城にローレシア青の騎士団長サイラスから突然の急報が届いた。 師匠の館からローレシアへ魚を売りに来た商人が、道中で出会ったティアの勧めで王子に謁見を求めてきたんだという。 サイラスが厳しく取り調べたものの不審な点は見受けられず、トルネコという商人は解放されて、これからサマルトリア城におれや王子を訪ねてやって来る予定らしい。...
View Article【創作 184】 作戦会議
デルコンダル王にもらった『不思議な宝石』の力で、異空間からデルコンダル城へおれたちが避難したとき、破壊神シドーが白い霧を渦巻かせておれたちを再び異空間へと引きずりこむ代わりに、別の破壊神がデルコンダルに降り立ったかも… 王子がつぶやいた仮説におれは戦慄した。 破壊神がデルコンダルに潜伏しているだなんて、常識的には考えにくい話だ。...
View Article【創作 185】 マズい展開
トルネコって奴がローレシアからサマルトリアにやって来るまでの数日間、おれたちはこれまでと変わりなくすごそうとしていた。 朝は王子とかつてロトの盾が保管されていた部屋で剣の稽古をし、稽古が終わったらナナと3人で裏庭へ行き花の世話をする。 いつもどおりの日常を送るはずが「トルネコはただの商人だと思うよ」とおれたちに言ってきた王子も心のどこかに不安があるのか、やたらと稽古に熱が入っている。...
View Article【創作 186】 目を見りゃわかる
ローレシアからトルネコという正体不明の男がもうすぐサマルトリアへやって来る。 おれたちは緊張感を持ちつつも、表向きは穏やかな普段どおりの生活を続けながらトルネコの到着を待っていた。 トルネコが来るのと前後して、親父と王妃もテパの村から戻ってくるかもしれねえし城の損失は最小限に抑えたい。...
View Article【創作 187】 例の魚
おれたちは、ローレシアからサマルトリアにやって来るトルネコって野郎の正体が仮に邪悪な破壊神だったとしても対処できるように、熱心に剣の稽古を続けながらトルネコが来るのを待っていた。 ローレシア城に凱旋して国王に即位してからまったく腕を磨く機会のなかった王子も稽古を続けるうちにめきめきと本来の実力を取り戻し「勝てる!」とおれは思った。...
View Article【創作 188】 そっくりな2人
サマルトリアにやって来たトルネコはただの太った魚売りの商人に間違いなかった。ホッとしたおれたちはトルネコが持ってきた魚を食うための宴を開くことにした。 トルネコが魚を選ぶなか、おれはサンチョが食いたがっていた「キス」という魚はこの中にあるのか尋ねてみる。...
View Article【創作 189】 キスの味
おれはサンチョを呼びに行き、トルネコが持ってきた魚を食う宴に招待してやった。 「キス」という言葉を言い出しにくいおれを笑い者にするサンチョには腹が立ったが10年以上ぶりに王子に再会できたことを喜ぶサンチョを見て心がなごんだのと王子とナナを「ガキとババアだな」とからかうことでイライラは少しおさまった。...
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